知的財産法の調べ方


東京大学教授 田村善之


 


第I編 基礎編

1 概説書

1.1 知的財産法全般について

a 田村善之・知的財産法(第5版・2010年・有斐閣)
b 土肥一史・知的財産法入門(第16版・2019年・中央経済社)
c 角田政芳=辰巳直彦・知的財産法 (第9版・2020年・有斐閣)
d 渋谷達紀・知的財産法講義I〜III(I(第2版・2006年・有斐閣)・II(第2版・2007年・有斐閣)・III(第2版・2008年・有斐閣))
e 茶園成樹編・知的財産法入門(第2版・2017年・有斐閣)
f 辰巳直彦・体系化する知的財産法(上・下)(2013年・青林書院)
g 駒田泰土=潮海久雄=山根崇邦・知的財産法T特許法(2014年・有斐閣)・U著作権法(2016年・有斐閣)
h 木棚照一編・実践 知的財産法:制度と戦略入門(2017年・法律文化社)
i 平嶋竜太=宮脇正晴=蘆立順美・入門 知的財産法(第3版・2023年・有斐閣)
j 小泉直樹・知的財産法(第2版・2022年・弘文堂)
k 愛知靖之=前田健=金子敏哉=青木大也・知的財産法(第2版・2023年・有斐閣)
l 前田健=金子敏哉=青木大也編・図録知的財産法(2021年・弘文堂)
m 大石玄=佐藤豊編・18歳からはじめる知的財産法(2021年・法律文化社)
n 志田陽子=比良友佳理・あたらしい表現活動と法(2018年・武蔵野美術大学出版局)

 aは、不正競争防止法、商標法、特許法、実用新案法、意匠法、種苗法、半導体チップ保護法、著作権法、国際条約を扱っており、重要な裁判例も網羅しているので、これ一冊で知的財産法に関する主要な知識を取得することができる。理論的には、市場と法の役割分担、判断主体の役割分担等の視点から市場指向型の機能的知的財産法という体系を打ち出している。
 この他、図表ふんだんに取り入れて全体を俯瞰する本として、次のものがある。lは上級者用、mは初学者向けである。
 なお、初学者向けという観点では、nの後半部分が文章主体ながら図表も多く読みやすい(前半は憲法、後半が知財法という構成)。知財法の部分は、理論的にaを踏襲しており、その初学者向け版といった趣となっている。


1.2 不正競争防止法について

a 田村善之・不正競争法概説(第2版・2003年・有斐閣)
b 松村信夫・新・不正競業訴訟の法理と実務(2014年・民事法研究会)
c 山本庸幸・要説不正競争防止法(第4版・2006年・発明協会)
d 小野昌延=松村信夫著・新・不正競争防止法概説(上)(下)(第3版・2020年・青林書院)
e 渋谷達紀・不正競争防止法(2014年・発明協会)
f 茶園成樹編・不正競争防止法(第2版・2019年・有斐閣)
 
  筆者の手になるものとして、aがある。
  この他、一般的な概説書として、b〜fがある。
  この中では、bが、他の書物を適宜、引用してあるので便利であろう。
  ちなみに、cも内閣 法制局にあって起草を担当した者の概説書。
  dは、営業秘密の保護(1968年・有信堂)の執筆者で京大の博士号を取得している有名な弁護士の手になる旧版の改訂版である。


1.3 特許法について

a 田村善之=清水紀子・特許法講義(2024年・弘文堂)
b 田村善之=時井真氏=酒迎明洋・プラクティス知的財産法T 特許法(2020年・信山社)
c 増井和夫=田村善之・特許判例ガイド(第4版・2012年・有斐閣)
d 竹田和彦・特許の知識(第8版・2006年・ダイヤモンド社)
e 吉藤幸朔=熊谷健一・特許法概説(第13版・1998年・有斐閣)
f 中山信弘・特許法(第5版・2023年・弘文堂)
g 高林龍・標準特許法(第8版・2023年・有斐閣)
h 渋谷達紀・特許法(2013年・発明協会)
i 茶園成樹編・特許法(第2版・2017年・有斐閣)
j 島並良=上野達弘=横山久芳・特許法入門(第2版・2021年・有斐閣)

 特許法の概説書は夥しい数が巷に出回っている。
 aは、東京大学のロースクール・研究大学院での講義の録音に基づいて口語で文章化したもの。読みやすさを優先しており、裁判例や文献の引用は最小限のものに止めており、細かな論点に立ち入ることも控えているが、内容は相対的に高度である。なお、裁判例や文献の引用については、各章末に「さらに勉強したい方へ」で引用されている、田村やその弟子の論文で補うことができ、論点については、bで補うことが可能である。
 bは、もともと、新司法試験受験用に書かれた本を装いを改め、特許訴訟に携わる実務家向けの本としたもの。新司法試験が出願よりは訴訟中心の出題となっている傾向を反映しており、特許訴訟における論点を渉猟している。特許法に対して相応の知識がある者が効率的に知識を修得しうるよう、初学者にとってのみ必要となる知識はほぼ割愛している。そのため、初学者は、aで特許法の全体像を掴んだのち、必要があればbに進むのがよいであろう。
 cは、裁判例を網羅的に掲げたもの。全体の章立ても筆者の体系観を反映した構成となっている。各制度の趣旨説明も従来のものと微妙に異なる。理系出身の特許弁護士と学者の組合せで互いに得意の分野を受け持っており、本書を通読すれば裁判実務関係で必要な特許法の知識は修得することができるであろう。反面、解釈論を打ち立てようとするものではないために、著者の真意は各標題判例に付された短い<コメント>から必死に読み取るしかない。また、裁判例中心なので、特許庁の運用基準の方が重要な出願、審査手続関係のところの叙述は薄い。長らく改訂をしていないので、情報が古くなってしまっている。
 dは、企業法務に携わっている者の手になるものである。主要な学説も紹介されており、実際のビジネスにおける特許法の動きが分かるので研究者にとっては便宜な本である。もっとも、著者逝去後、改訂がされず、情報がやや古くなってしまった。
 eは、特許庁内にあって、昭和34年改正にも携わった著者の経歴を反映して起草趣旨に詳しく、情報量が多い。ある時期までは裁判例を広く収拾し、文献の論点整理もなされており、かつてはこれ一冊で足りた。ただし、著者が高齢になった(1995年逝去)平成年代から裁判例が拾われる数が減少し、改訂が長らく途絶えている。
 fは、文献引用が最も豊富であり、裁判例についても簡潔な概観を試みている。論述は、いわゆる利益衡量論を体現している。


1.4 実用新案法について

a 特許庁総務部総務課工業所有権制度改正審議室・逐条解説改正特許法・実用新案法(1993年・有斐閣)69〜137頁

 この他、吉藤幸朔=熊谷健一・特許法概説(第13版・1998年・有斐閣)にも解説がある。

1.5 意匠法について

a 加藤恒久・意匠法要説(1981年・ぎょうせい)
b 加藤恒久・改正意匠法のすべて(1999年・日本法令)
c 斎藤暸二・意匠法概説(補訂版・1995年・有斐閣)
d 斎藤暸二・意匠法(第2版・1986年・発明協会)
e 高田忠・意匠(1969年・有斐閣)
f 茶園成樹編・意匠法(2012年・有斐閣)

 aは,やや古くなったが,基本的な事項についての解説を主としているので,1998年改正の優れた解説であるbで補えば,現行法の解説書としても利用することができる。
 c、dは特許庁出身の弁理士が著した意匠法のスタンダード。早く書かれたdが各論点につき分量のバランスが採れているのに対して、cは重要な部分に紙数を注ぎ込む反面、バッサリと省略している部分もあり、それぞれ特徴がある。cの方が新しいが、1998年改正のフォローはこれからである。
 eはかつてのスタンダード。


1.6 商標法について

a 田村善之・商標法概説(第2版・2000年・弘文堂)
b 網野誠・商標(第6版・2002年・有斐閣)
c 小野昌延=三山峻司・新・商標法概説(第3版・2021年・青林書院)
d 平尾正樹・商標法(第3次改訂版・2022年・学陽書房)
e 茶園成樹編・商標法(第2版・2018年・有斐閣)


 筆者の手になるものとしてaがある。執筆に当たっては、裁判例、論点を網羅するよう心掛けた。また、体系も、登録主義を中心に、それを補完する規律として、不使用商標対策、具体の信用の保護、登録制度の濫用対策を掲げるなど、商標法を体系的かつ横断的に叙述することを試みた。
 bは特許庁出身の弁理士が著したもの。裁判実務を俯瞰するものではないものの、起草趣旨や条文の構造に詳しい。同じ著者の手になる論文集として、網野誠・商標法の諸問題、同・続商標法の諸問題、同・商標法あれこれ(1978・1983・1989年・東京布井出版)がある。
 
1.7. 著作権法について

a 田村善之・著作権法概説(第2版・2001年・有斐閣)
b 田村善之=高瀬亜富=平澤卓人・プラクティス知的財産法U 著作権法(2020年・信山社)
c 中山信弘・著作権法(第4版・2023年・有斐閣)
d 島並良=上野達弘=横山久芳・著作権法入門(第3版・2021年・有斐閣)
e 加戸守行・著作権法逐条講義(六訂新版・2013年・著作権情報センター)
f 作花文雄・詳解著作権法(第6版・2022年・ぎょうせい)
g 荒竹純一・ビジネス著作権法(侵害論編)(新版・2014年・中央経済社)
h 上野達弘=前田哲男・〈ケース研究〉著作物の類似性判断:ビジュアルアート編(2021年・勁草書房)
i 三山裕三・著作権法詳説−判例で読む14章(第10版・2016年・勁草書房)
j 半田正夫・著作権法概説(第16版・2015年・法学書院)
k 斉藤博・著作権法概説(2014年・勁草書房)
l 松村信夫=三山峻司・著作権法要説 実務と理論(第2版・2013年・世界思想社)
m 高林龍・標準著作権法(第5版・2022年・有斐閣)
n 渋谷達紀・著作権法(2013年・中央経済社)
o 岡村久道・著作権法(第5版・2020年・民事法研究会)
p 茶園成樹編・著作権法(第3版・2021年・有斐閣)
q 才原慶道『わかる著作権法講義』(2021年・日本経済評論社)
r 宮田昇・翻訳出版の実務(第4版・2008年・日本エディタースクール出版部)
s 安藤和宏・よくわかる音楽著作権ビジネス基礎編・実践編(6th Edition・2021年・リットーミュージック)

 筆者の手になるものとして、aがある。例の如く、裁判例や論点を網羅するよう心掛けた。体系も、侵害の範囲が決まらなければ権利範囲や権利者も決まらないという筆者の考え方を反映させたものとなっている。
 bは、新司法試験受験用に書かれた本であるが、古くなってしまったaに関して、法改正や重要な論点に関して情報を更新するという役割を果たしうるものとして、受験生以外にもお勧めする。ただし、試験範囲外の著作隣接権はカヴァーしていない。また、司法試験には出題されたことがない創作性や類似性の具体的な認定に関しても、裁判例の状況を説明するものとはなっていない。もっとも、後者の点は、aあるいは後述するgで補充することが可能である。
 cは、aに比して、網羅度は落ちるが、その分、著作権法の現状に対する著者の憂いなど、大きな問題意識を説明する叙述が有り、読みやすい。個々の解釈論は、諸般の事情を柔軟に総合考慮せよ型の抽象論が多く、ルール志向のaとは対照的なところが少なくない。
 dは、著作権法の若手の研究者の分担執筆による入門書。初学者の読みやすさを狙って、概ね、著作権法の条文の構成に従って配列されている点が特徴的である。
 eは、現行法の起草作業に携わった者が著した逐条解説。
 fは、文化庁の方が著した概説書。踏み込んだ解釈もなされているところも多い。
 gは、弁護士の手になる概説書。図版が多く、侵害の成否の相場が分かる点で、aと共通するところがある。
 hは、具体例は美術作品(写真を含む)の分野に限定されているが、図版をふんだんに用いて裁判例を網羅的に紹介しており、また類似性に関する一般論も展開する。aが古くなった現在、bで全体像をつかみ、gやhで創作性や類似性などに関する裁判例の相場を把握するという手法で、著作権法の全体像を理解するという方策がある。
 rは、翻訳出版の実務に関する詳しい概説書。著作権の保護期間の計算の仕方など、出版以外の分野にも参考となる叙述が少なくない。
 sは、音楽著作権、著作隣接権に関しては、音楽ビジネス関係者の手による名著。体験ストーリー風であり、また、漫画が挿入されているために、無理なく通読することができる。そればかりでなく、そこで展開されている実務的論点は極めて高度であるという夢のような本である。」

1.8.その他の法について

a 渋谷達紀・種苗法の概要(2014年・経済産業調査会)

1.9.国際的な側面について

a 茶園成樹編・知的財産関係条約(第2版・2023年・有斐閣)
b 木棚照一・国際知的財産法入門(2018年・日本評論社)

2 研究書

 知的財産法の分野でも、研究業績が徐々に堆積しつつある。短い論文も含めれば、枚挙に暇がないほど多くの文献が存在する。ここでは、スペースの関係で単行本に限り、知的財産法の研究者を目指す者が、自己の専攻テーマに関わらず、一般知識として読んでおいた方がよいと思われる単行本を掲げておく。年代順に並べておくが、どれから読み始めても構わない。

・  清瀬一郎・発明特許制度ノ起源及発達 (1918年・学術選書)
・  半田正夫・著作権法の研究(1971年・一粒社)
・  渋谷達紀・商標法の理論(1973年・東大出版会)
・  斉藤博・人格権法の研究(1979年・一粒社)
・  中山信弘・発明者権の研究(1987年・東大出版会)
・  中山信弘・ソフトウェアの法的保護(新版・1988年・有斐閣)
・  林倬史・多国籍企業と知的所有権(1989年・森山書店)
・  白石忠志・技術と競争の法的構造(1994年・有斐閣)
・  小泉直樹・アメリカ著作権制度(1996年・弘文堂)
・  田村善之・機能的知的財産法の理論(1996年・信山社)
・  日向野弘毅・建築家の著作権(1997年・成文堂)
・  白田秀彰・コピーライトの史的展開(1998年・信山社)
・  石黒一憲・国際知的財産権(1998年・NTT出版)
・  平嶋竜太・システムLSIの保護法制(1998年・信山社)
・  田村善之・競争法の思考形式(1999年・有斐閣)
・  松本重敏・特許発明の保護範囲─その理論と実際─(新版・2000年・有斐閣)
・  大渕哲也・特許審決取消訴訟基本構造論(2003年・有斐閣)  
・  田村善之・市場・自由・知的財産(2003年・有斐閣)
・  蘆立順美・データベース保護論(2004年・信山社)
・  石黒一憲・国境を超える知的財産(2005年・信山社)
・  潮海久雄・職務著作制度の基礎理論(2005年・東京大学出版会)
・  稗貫俊文・市場・知的財産・競争法(2007年・有斐閣)
・  青木博通・知的財産権としてのブランドとデザイン(2007年・有斐閣)
・  田村善之・特許法の理論(2009年・有斐閣)
・  木棚照一・国際知的財産法(2009年・日本評論社)
・  山口直樹・知的財産権と国際貿易(2010年・成文堂)
・  山口いつ子・情報法の構造―情報の自由・規制・保護(2010年・東京大学出版会)
・  和久井理子・技術標準をめぐる法システム−企業間協力と競争,独禁法と特許法の交錯(2010年・商事法務)
・  大日方信春・著作権と憲法理論(2011年・信山社)
・  大西育子・商標権侵害と商標的使用(2011年・信山社)
・  京俊介・著作権法改正の政治学(木鐸社・2011年)
・  前田健・特許法における明細書による開示の役割−特許権の権利保護範囲決定の仕組みについての考察(2012年・商事法務)
・  西村もも子・知的財産権の国際政治経済学 国際制度の形成をめぐる日米欧の企業と政府(2013年・木鐸社)
・  内藤篤=田代貞之・パブリシティ権概説(第3版・2014年・木鐸社)
・  愛知靖之・特許権行使の制限法理(2015年・商事法務)
・  土肥一史・商標法の研究(2016年・中央経済社)
・  金彦叔・国際知的財産権保護と法の抵触(2011年・信山社)
・  小田切宏之・イノベーション時代の競争政策 -- 研究・特許・プラットフォームの法と経済(2016年・有斐閣)
・  中空萌・知的所有権の人類学ー現代インドの生物資源をめぐる科学と在来知(2019年・世界思想社)
・  田村善之・知財の理論(2019年・有斐閣)
・  河島伸子・コンテンツ産業論(第2版・2020年・ミネルヴァ書房)
・  斎藤誠・バイオテクノロジーの法規整--交差する公法と知的財産法(2020・有斐閣)
・  本山雅弘・著作隣接権の理論(2021年・成文堂)
・  斉藤博・人格権法の発展(2021年・弘文堂)
・  長岡貞男・発明の経済学 イノベーションへの知識創造(2022年・日本評論社)
・  今村哲也・地理的表示保護制度の生成と展開(2022年・弘文堂)
・  駒田泰土・知的財産法研究における大陸法的視座(2023年・有斐閣)
・  田村善之・知的財産権と損害賠償(第3版・2023年・弘文堂)
・  時井真・特許法における進歩性要件 基礎理論と日本,中国,ドイツ,EPO及び米国の裁判例分析(2023年・信山社)
・  大日方信春・表現の自由と知的財産権(2023年・信山社) 
・  舘秀典『用途発明の法理論ー発明概念の歴史的・比較法的考察』(2024年・信山社)
・  谷川和幸『リンク提供行為と著作権法』(2024年・弘文堂)


3 他分野の法知識の修得    

 知的財産法は法技術的に区切られた領域ではなく法の扱う対象で区切られた分野なので、様々な法技術が関連する雑法である。民法の財産法 (含む人格権法)、民事訴訟法、行政争訟法、行政法総論、独占禁止法、国際私法(除く国際家族法)の知識はUP-TO-DATEなものが必要となる。興味に従い、民事保全法(仮処分)、民事執行法(不作為債務の執行)、損害保険法(知的財産権侵害に関する損害保険)、租税法(国際技術取引と課税)、憲法、法哲学(「権利」論や「自由」論、「市場」に対する見方など)、労働法(営業秘密やノウハウとの関連)などにも手を伸ばすのも面白い。


第II編 応用編

 具体的な判例評釈や論文を書くとなると、独自の文献、裁判例探索が必要となる。なお、どの分野にも通用する一般的な文献探索法は知的財産法の研究にも有用であること論を待たないが、ここでは特に知的財産法に特化したノウハウを紹介する。

1 文献目録

a 小野昌延・無体財産権法文献目録総論第1 巻〜第 4巻(非売品)
b 小野昌延編・新・注解不正競争防止法 上巻・下巻(第三版・2012年・青林書院)
c 中山信弘=小泉直樹編・新・注解特許法(上)(中)(下)(第2版・2017年・青林書院)
d 小野昌延=三山峻司編・新・注解商標法(2016年・青林書院)

 包括的なものとしては a、個別分野毎にb、c、dにがある。一つの手掛かりにすることができよう。
 基礎編に掲げた田村・不正競争法概説、同・商標法概説、同・著作権法概説や中山・工業所有権法の叙述中の文献引用も参考となろう。ただし、一定の選別をなしている(特に田村のもの)ので網羅的ではない。
 なお、単行本に限り、e〜gがあるが、eは1980年まで、fは特許法限り(やや落ちがある)、gは商標法限りという制約がある。

2 法令集

a 知的財産権六法(三省堂)
b 工業所有権法令集(発明協会)

 aは著作権法関係の法令も載っており便利。ただし、特許法の改正附則などの中で細かい規定は省略している。その意味で、bはより網羅的ではあるが、工業所有権法に限られているのと、aで省略している部分を研究者が現実に必要とすることは滅多にない(主に経過措置に関するものなので、教科書的な叙述をなすときに必要となるに過ぎない)。

3 起草趣旨解説

ア 国内法について

・不正競争防止法

a 通商産業省知的財産政策室・逐条解説営業秘密(1990年・有斐閣)
b 通商産業省知的財産政策室・外国公務員贈賄防止 解説 改正不正競争防止法(1999年・有斐閣)
c 著作権法令研究会/通産省知的財産政策室・著作権法・不正競争防止法改正解説デジタル・コンテンツの法的保護(1999年・有斐閣)
d 通商産業省知的財産制作室監修 逐条解説不正競争防止法(1994年・有斐閣)
e 経済産業省知的財産政策室編・逐条解説不正競争防止法 平成13年改正版(2002年・有斐閣)
f 経済産業省知的財産政策室編・逐条解説不正競争防止法 平成15年改正版(2003年・有斐閣)
g 経済産業省知的財産政策室編・逐条解説不正競争防止法 平成16・17年改正版(2005年・有斐閣)
h 経済産業省知的財産政策室編・逐条解説不正競争防止法 平成18年改正版(2007年・有斐閣)
i 経済産業省知的財産政策室編・逐条解説不正競争防止法 平成21年改正版(2010年・有斐閣)
j 経済産業省知的財産政策室編・逐条解説不正競争防止法 平成23・24年改正版(2012年・有斐閣)
k 経済産業省知的財産政策室編・逐条解説不正競争防止法(第2版・2019年・商事法務)

 aからcは、各改正の解説であるが、逐条解説の体裁をとっているdからjまでも、実質的な改正があるたびに、立案担当者が逐条解説を改訂するとともに、巻末に改正関連資料を掲載するという体裁の書籍であり、性格としては各改正の色彩を色濃く残しているものであった。
   しかし、2015年改正に際して初版が刊行されたkは、出版元の変更とともに、改正関連資料の掲載を止めており、以降、逐条解説の形式に純化されている。
 この他、不正競争防止法に関しては、旧法制定に至るまでの経過を追うものに、富田徹男『史料による不正競争防止法制定史』(1998年・学術選書)がある。


・工業所有権四法

a 荒玉義人文庫(通産省別館内工業所有権参考資料センター所蔵)
b 特許庁編・工業所有権法(産業財産権法)逐条解説(第21版・2020年・発明協会)
c 特許庁総務部総務課工業所有権制度改正審議室・平成6・8・10年改正工業所有権法の解説(2002年・発明協会)
d 特許庁総務部総務課工業所有権制度改正審議室・平成11年改正工業所有権法の解説(1999年・発明協会)
e 特許庁総務部総務課制度改正審議室・平成14年改正産業財産権法の解説(2002年・発明協会)
f 特許庁総務部総務課制度改正審議室・平成15年特許法等の一部改正 産業財産権法の解説(2003年・発明協会)
g 特許庁総務部総務課制度改正審議室・平成16年特許法等の一部改正 産業財産権法の解説(2004年・発明協会)
h 特許庁総務部総務課制度改正審議室・平成18年意匠法等の一部改正 産業財産権法の解説(2006年・発明協会)
i 特許庁総務部総務課制度改正審議室・平成20年特許法等の一部改正 産業財産権法の解説(2008年・発明協会)
j 特許庁工業所有権制度改正審議室・平成23年特許法等の一部改正 産業財産権法の解説(2011年・発明協会)
k 特許庁総務部総務課制度改正審議室・平成26年特許法等の一部改正 産業財産権法の解説(2015年・発明協会)
l 特許庁総務部総務課制度審議室編・平成27年特許法等の一部改正 産業財産権法の解説(2016年・発明協会)
m 特許庁総務部総務課制度審議室編・平成30年特許法等の一部改正産業財産権法の解説(2019年・発明協会)
n 特許庁総務部総務課制度審議室編・令和元年特許法等の一部改正産業財産権法の解説(2020年・発明協会)
o 特許庁総務部総務課制度審議室編・令和3年特許法等の一部改正産業財産権法の解説(2022年・発明協会)

 昭和34年改正の現行工業所有権四法の起草過程を克明につづる原資料としてaがある。関係会議の議事録から手書きのメモまでをも含む同文庫は、改正作業に主導的に携わり後に48代特許庁長官となった荒玉義人氏の寄贈にかかるものであり、改正に関わる本格的な論文を執筆する際には見過ごすことは許されない資料である。この他、改正当時、工業所有権制度改正審議室で実際の起草作業に従事した織田季明氏の手になる織田季明=石川義雄・増訂新特許法詳解(1972年・日本発明新聞社)も参考になる。
 この他、刊行された書籍として起草趣旨について包括的なものは工業所有権法に関してはbであるが、個別の改正に関しては、改正毎に出されているc〜iの方が詳しい。なお、〜年改正工業所有権法の解説に関しては、その改正の重点が、特許法にあったり、商標法にあったり、意匠法にあったり、と様々であるが、一応、複数の法の改正が行われているので、「工業所有権四法]に分類した。
 この他、最近の改正では、各審議会の答申その他の報告書の他、知的財産研究所におけるワーキンググループ的な諸委員会の報告書も重要である。ただし、報告書は種々の制約から本当に議論されたことが反映されていない場合がある。何らかの形で委員会の個別の会議毎に提出された資料や議事録を参照する方がベターであろう。

・特許法

a 岩田弘=土居三郎=渥美勝忠・物質特許の知識(1975年・通称産業調査会)
b 新原浩朗編・改正特許法解説(1987年・有斐閣)
c 小栗昌平監修・改善多項制・特許権の存続期間の延長制度(1988年・発明協会)
d 特許庁総務部総務課工業所有権制度改正審議室・改正特許法・実用新案法解説(1993年・有斐閣)
e 熊谷健一・逐条解説改正特許法(1995年・有斐閣)   

・商標法

a 特許庁総務部総務課工業所有権制度改正審議室・サービスマーク登録制度(1993年・有斐閣)
b 特許庁総務部総務課制度改正審議室・平成17年商標法の一部改正 産業財産権法の解説(2005年・発明協会)

・著作権法

a 加戸守行・著作権法逐条講義(6訂新版・2013年・著作権情報センター)
b 著作権法令研究会=通産省知的財産政策室・著作権法・不正競争防止法改正解説・デジタル・コンテンツの法的保護(1999年・有斐閣)
s 著作権法令研究会・逐条解説著作権等管理事業法(2001年・有斐閣)  
d 清野正哉・著作権等管理事業法(2001年・中央経済社)

 なお、旧著作権法については、小林尋次・現行著作権法の立法理由と解釈 (1958年・文部省)があり、現行著作権法の改正の際にもかなり参酌された形跡がある。現行法の起草趣旨については、座談会形式の「新著作権法セミナー1〜17」ジュリスト467〜486号(1970〜1971年)も参考となろう。

・その他

a 通商産業省機械情報局・解説半導体集積回路法(1986年・ぎょうせい)
b 農林水産省生産局知的財産課編著・最新逐条解説種苗法(2009年・ぎょうせい)
c 農林法規研究委員会・農林法規解説全集 園芸編(1999年・大成出版社)
d 知的財産権侵害物品の水際取締制度の解説(2009年・知的財産情報センター(CIPIC))
e 近藤昌昭=齋藤友嘉・知的財産関係二法 労働審判法 (司法制度改革概説 2・2004年・商事法務)
f 阿部・井窪・片山法律事務所編=長沢幸男監修・平成16年改正裁判所法等を改正する法律の解説 (2005年・発明協会)

イ 条約について

a 尾島明・逐条解説TRIPS協定(1999年・日本機械輸出組合)
b ボーデンハウゼン・注解パリ条約(1976年・AIPPI日本部会)
c 後藤晴男・パリ条約講話[TRIPS協定解説を含む](第12版・2002年・発明協会)
d 満田重昭・不正競業法の研究(1985年・発明協会)[原産地表示に関する条約の解説がある]
e 橋本良郎・特許協力条約逐条解説(第6版・1995年・発明協会)
f 特許庁工業所有権制度改正審議室・ブタペスト条約逐条解説(1981年・発明協会)
g WIPO(黒川徳太郎訳)・ベルヌ条約逐条解説(1979年・著作権資料協会)
h WIPO(大山幸房訳)・隣接権条約・レコード条約解説(1983年・著作権資料協会)
i  文化庁国際著作権室「 WIPO新条約について」コピライト430号(1997年)
j  WIPO(大山幸房他訳)・WIPOが管理する著作権及び隣接権諸条約の解説並びに著作権及び隣接権用語解説(2007年・著作権情報センター)


4 制度史

a 著作権法百年史編集委員会・著作権法百年史(2000年・著作権情報センター)
b 著作権法百年史編集委員会・著作権法百年史資料編(2000年・著作権情報センター)
c 特許庁編・工業所有権制度百年史(上巻)(1984年・発明協会)
d 特許庁編・工業所有権制度百年史(下巻)(1984年・発明協会)
e 特許庁編・工業所有権制度百年史(別巻)(1984年・発明協会)
f 特許庁編・工業所有権制度この10年のあゆみ─工業所有権制度110周年記念─(1995年・発明協会)
g 後藤晴男編著・ 特許協力条約成立史─グローバル特許戦略のために─(2003年・経済産業調査会)
h 中山信弘編・通商産業政策史11 知的財産政策 1980-2000 (2011年・経済産業調査会)

5 特許庁の実務

a 特許庁編・審査基準(発明協会)
b 特許庁審判部編・審判便覧(発明協会)

 工業所有権四法関係の出願、審査、審判手続きに関しては、特許庁の運用指針も重要である。実際の現場では法律が予想していないような事態が見つかることもままあるからである。
 a、bの他、適宜、発明協会から運用基準に関する解説書が出ている。

6 裁判例

ア 裁判例を概観する文献

a 最高裁判所事務総局行政局監修・知的財産関係民事行政裁判例概観(1992年・法曹会)
b 田村善之・不正競争法概説(第2版・2003年・有斐閣)
c 小野昌延編・新・注解不正競争防止法 上巻(第3版・2012年・青林書院), 同・下巻(第3版・2012年・青林書院)
d 金井重彦=山口美惠子=小倉秀夫・不正競争防止法コンメンタール(改訂版・2014年・レクシスネクシス・ジャパン)」
(補)小倉秀夫・不正競争防止法 平成27年改正の全容(2015年・レクシスネクシス・ジャパン)
e 増井和夫=田村善之・特許判例ガイド(第4版・2012年・有斐閣)
f 中山信弘=小泉直樹編・新・注解特許法(上)(中)(下)(第2版・2017年・青林書院)
g 寒河江孝允=峯唯夫=金井重彦 編・意匠法コンメンタール(新版・2022年・勁草書房)
h 満田重昭=松尾和子編『注解 意匠法』(2010年・青林書院)
i 田村善之・商標法概説(第2版・2000年・弘文堂)
j 金井重彦=鈴木将文=松嶋隆弘編・商標法コンメンタール(新版・2022年・勁草書房)
k 小野昌延=三山峻司編・新・注解商標法(2016年・青林書院)
l 田村善之・著作権法概説(第2版・2001年・有斐閣) 
m 金井重彦=小倉秀夫・著作権法コンメンタールT〜V(改訂版・2020年・第一法規)
n 半田正夫=松田政行編・著作権法コンメンタール1〜3(第2版・2015年・勁草書房)
o 小泉直樹ほか・条解著作権法(2023年・弘文堂)

 知的財産法全般にわたる包括的なものとして aがある。要旨集ではあるが、同書に収められたもの以降の裁判例を補足するものとして、最高裁判所事務総局行政局監修・知的財産権関民事・行政裁判例要旨集(1998年・法曹会)がある。いずれも、判例評釈のリストがついている点も便宜である。

イ 裁判例探索法

 評釈や論文を執筆する際には、最終的には自分の目で裁判例を概観する必要がある。一応の調べ方を記しておく。

a 判例不正競業法 (新日本法規)
b 判例工業所有権法 (第一法規)
c 判例体系 (無体財産権法)(第一法規)
d 最新著作権関係判例集1〜10(ぎょうせい)
e 知的財産権裁判例集・判決速報(最高裁判所ホームページ内) http://www.courts.go.jp/ 

 aは不正競争防止法関係の決定版。全文掲載なので便利。ただし、イbは主にこれを利用して作成されているので、平成14年辺りの判決までは、それを見ながら検索すると楽になる。なお、侵害事件に限り商標法も載っている。次のbの補充用に使うと良い。

 bは、旧法編・現行法編、現行法編[2期版]に分かれる。工業所有権四法に関する最も網羅的な判例要旨集。最近では全文掲載が多くなり便宜である。最初は分量に圧倒されるが、必ずこれから当たるべき。しかし、現在、追録がストップしており、平成13年9月以降の裁判例が掲載されていないことに注意すべきである。なお、アdはこれを主に利用して作成されたものなので、特許、実用新案に関する判決はそれを見ながら検索すると楽になる。bで調べた判例がbには全文掲載されていない場合で、かつ、一般の判例集の引用もない場合がある。その場合、東京地裁、大阪地裁、京都地裁、名古屋地裁、神戸地裁の判決は、その殆どが毎年発行されている知財管理別冊判例集に全文が掲載されている。また、東京高裁の取消訴訟事件に関しては、審決取消訴訟判決集がある。平成11年後半以降の判決は、eを参酌すれば足りることが多い。

 c 工業所有権のところはbの短縮バージョンである。

 d 判例検索集というよりはむしろ判例集に近いが、日本のこれまでの著作権関連の公刊裁判例が全文掲載で網羅的に搭載されている。他の判例集にないものもあり便利。一応、分野別になっている。必ず参酌すべきである。しかし、1995年に第10巻が販売されて以降、続刊がない。  

 e 平成11年後半以降の知的財産権関係の裁判例のほとんど(掲載されないものもある)と、それ以前の知的財産権関係民事行政裁判例集(旧・無体財産関係民事行政裁判例集。第30巻(平成10年の裁判例を集めた巻)に掲載された裁判例を網羅している。単語検索ができるので便利であるが、平成11年前半以前の裁判例で知裁集に掲載されなかった裁判例は登載されていないので注意が必要である。

   ウ 裁判例の動向の把握法

a ジュリスト 臨時増刊重要判例解説[知的財産法] (有斐閣)
b 新・判例解説Watch [知的財産法](日本評論社)
c 年報知的財産法(日本評論社)
d コピライト[最近の著作権関係裁判例について」(著作権情報センター)
e パテント[東京弁護士会知的財産権法部 判例研究]
f 民事判例[最新専門領域裁判例の動向 知的財産法]
g Law & Technology [最新判例紹介](民事法研究会)
h 知財高裁判例集(青林書院)
i 最新判例からみる商標法の実務T(2006年)・U(2012年)(青林書院)

 aは、毎年4月頃にジュリストの臨時増刊号として公刊されるもの。全法律分野に関するものであるが、知的財産法に関しても、知的財産法全般に関する1年間の重要な裁判例についての解説である「知的財産法判例の動き」と、特に重要な裁判例として選択された4件ほどの判例評釈が掲載される。解説は、紙幅の都合があり、紹介されている裁判例の数は少ないが、短時間で概要をつかむのには便宜である。

bは、毎年4月と10月に公刊されるもの。全法律分野に関するものであるが、知的財産法に関しても、特に重要な裁判例として選択された6〜9件ほどの判例評釈が掲載される。aと異なり、全体を俯瞰する解説はないが、年間 2回公刊されることもあって判例評釈の掲載数が多く、若手や中堅を中心に生産力のある研究者が執筆を担当していることもあって参 考になる。

cは、毎年12月頃に公刊されるもの。「判例の動向」と題して、1年間の主な裁判例の紹介がある。aよりも長いページ数が割かれており、紹介される裁判例も多い。

dは、毎年2月号に、東京地裁の知財部の裁判官の講演録である「最近の著作権関係裁判例について」が掲載される。1年間の著作権関係の主要な裁判例の紹介がなされている。事件に関係する図表や写真と、ポイントを得た 解説であり、極めて便宜である。

eは、パテント誌に連載されている東京弁護士会知的財産権法部判例研究の一環として、2011年から、特許侵害訴訟、特許審決取消訴訟、商標・不正競争関係訴訟、著作権関係裁判例に関する前年の裁判例の動向を紹介する論文を掲載する企画として開始されたものである。力のこもった好企画であり、毎年の主な知的財産関係の裁判例の概要を把握することができる。

fは、年2回発行される雑誌に毎号、掲載されるもの。重要な裁判例のみa より長く、cより短く、手頃な長さで裁判例の動向について鳥瞰図を与えてくれる。 一般の要旨からは 把握しづらい立証等、実務的な観点からの指摘がなされることもあり、大いに参考になる。

gは、季刊誌に毎号「最新判例紹介」と題して、知的財産関係の多数の裁判例が紹介されている。事案と判旨の概要が簡潔に紹介されていて便宜である。もっとも、審級順、日付順に並んでいるだけであるので、法分野毎、 条文毎、論点毎の検索はそれほど楽ではなく、全体を俯瞰するのには適していないかもしれない。

hは、知財高裁の裁判官が自ら、前年に下された知財高裁の裁判例のなかから先例的価値の高いものを選んで、その要旨を紹介する企画である。2012年から刊行が開始された。今後も継続的に刊行するとともに、知財高裁設 立時まで遡ることを予定しているという。性質上、地裁判決、最高裁判決は収録していないために、本書のみで知財関係の裁判例の全容を把握するというわけにはいかないが、裁判官自らの手になる好企画であることに違 いはない。

iは、ちょうど田村善之・商標法概説(第2版・2000年・弘文堂)がカヴァーする裁判例の後辺りからの商標関係の主要な裁判例を取り扱っている。事案と判旨ばかりでなく、簡潔なコメントも付されており便宜である。




7 外国法

 知的財産法の分野ではかなりの数の邦語文献が出ている。論文で比較法として選択した国の関連法はテーマのところに限らずわきまえておく必要があるが、邦語文献である程度それをこなすことができる。以下、一応、単行本に限り主なものを掲げておくが、個別テーマに関する論文などから得る情報も大切であることを忘れてはならない。

  アメリカ合衆国

a ミラー=デービス(藤野仁三訳)・アメリカ知的財産権法(2008年・八朔社)
b 木村耕太郎・判例で読む米国特許法(新版・2008年・商事法務研究会)
c ドナルド.S.チザム(竹中俊子訳)・アメリカ特許法とその手続(改訂第2版・2000年・雄松堂書店)
d ヘンリー幸田・米国特許法逐条解説(第6版・2013年・発明協会)
e 武重竜男=荒木昭子・米国特許法講義(2020年・商事法務)
f イーサン・ホーウィッツ(荒井俊行訳)・アメリカ商標法とその実務(2005年・雄松堂出版)
g 白鳥綱重・アメリカ著作権法入門(2004年・信山社)
h 本山雅弘「アメリカ合衆国編」外国著作権法概説(2003年・著作権情報センター)
i ロバート・ゴーマン=ジェーン・ギンズバーグ編(内藤篤訳)・米国著作権法詳解(上)(下)(2003年・信山社)
j エリック・J・シュワルツ(高林龍監修・安藤和宏・今村哲也訳)・アメリカ著作権法とその実務(2005年・雄松堂出版)
k マーシャル・A. リーファー(牧野和夫監訳)『アメリカ著作権法』(2008年・レクシスネクシスジャパン)

 aはナットシェル・シリーズの翻訳である。頁の分量の割には、個々の制度に関する趣旨説明もしっかりしており、重要なところは史的変遷を追ってもいる。良書といえよう。
 特許法に関しては、bが裁判例をちりばめながら分かりやすく解説しており、読みやすい。 少し情報が古くなってしまったが、現在でも先例的価値を有する裁判例を分かりやすく、生き生きと伝える紹介は重宝することに変わりない。
 cも叙述が正確であり、引用に耐える。和英対訳でチェックもしやすい。
 eは、bと同様、著者の留学の際の授業の体験を伝えようとするものであり、読みやすく、バランスのとれた叙述となっている。
 アメリカ著作権法を解説するgの冒頭には、著作権法に限らずアメリカの知的財産法全般に関する留意点が指摘されている。初学者にとって必要な情報が記されており、便宜である。著作権法についても、日本法との違いを意識しながら、要領よく解説されており、重要な裁判例については事案と判旨の簡潔な紹介も載せられている。
 同じく著作権に関するiはケイス・ブックをそのまま翻訳したもの。極めて大部だが、訳もよみやすい。水準はかなり高く、適宜付された「質問」はさすがに示唆的である。本の性格上、解答が付されていないが、各質問事項に有機的に体系的に解答するには、かなりハイ・レヴェルの著作権法の体系観が必要となる。
 kは、定評のあるMarshall A. Leaffer, UNDERSTANDING COPYRIGHT LAWの翻訳版である。大部ではあるが、分量的には、iよりも短く、またケースブックではない概説書なので、相対的には通読が容易であろう。もっとも、翻訳は、文法的なミスと内容を把握していないことに起因する夥しい数の誤訳に満ちあふれており、原書と首っ引きで確認しながら読み進めることをお勧めする。
 
  ヨーロッパ

a ジェラルド・パターソン (竹中俊子訳)・ヨーロッパ特許法とその実務(1995年・雄松堂書店)
c 飯田幸郷・欧州共同体商標制度親講(1997年・発明協会)

  フランス

a ジャバンヌ=ブルスト(宮澤溥明訳)・フランスの特許権(1993年・第一書房)
b C.C.コロンベ(宮澤溥明訳)・著作権と隣接権(1990年・第一書房)
c 大山幸房「フランス編」外国著作権法概説(2003年・著作権情報センター)

  bは短くもなく、長くもなく、手頃な分量。訳も読みやすくてよい。訳者は法律の専門家ではないので、法律用語に関しては適宜斟酌してやる必要がある。この他、宮澤溥明・著作権の誕生(1998年・太田出版)は、フランスにおける著作権の誕生史を追う。

  ドイツ

a W・シュトックマイヤー(安井幸一訳)・ドイツ知的所有権制度の解説(1996年・発明協会)
b 山田晟・ドイツ法概論III(第3版・1989年・有斐閣)の第11編
c 上野達弘「ドイツ編」外国著作権法概説(2003年・著作権情報センター)

  bには、無体財産権法に関し簡便ながらも1編を設けその概要を紹介しているところがある。ただし、専門用語に関する訳語は著者独自の訳であり一般には通用しないものであることを覚悟しておく必要がある。

  イギリス

a ティナ・ハート=リンダ・ファッツァーニ=サイモン・クラーク(牧野和夫監訳・早川良子訳)・イギリス知的財産法(2007年・レクシスネクシス・ジャパン)
b マイケル・F・フリント(内藤篤監修・高橋典博訳)・イギリス著作権法(1999年・木鐸社)
c 阿部浩二「イギリス編」外国著作権法概説(2003年・著作権情報センター)

  イタリア

a 三浦正広「イタリア編」外国著作権法概説(2003年・著作権情報センター)

  中国

a 知的財産研究所編・中国知的財産保護の新展開(2003年・雄松堂出版)

  国際知的財産法  

a ラダス(豊崎=中山監訳)・国際工業所有権法1〜2(1980・1985年・AIPPI日本部会)
b E.T.Penrose (黒田=中柴=吉村訳)・国際特許制度経済論(1957年・英文法令社)
c 外国工業所有権法法令集(AIPPI日本部会)
d 外国著作権法令集(著作権情報センター)
e 高倉成男・知的財産法制と国際政策(2001年・有斐閣)

 aはやや古くなってしまったが、未だに参考になるところもある。ただし、3巻の翻訳は未出版。
 bはマクロ経済学のペンローズの理論で知られる経済学者の手になる理論書。現在でも、邦語文献では国際工業所有権制度の最高の理論書であり、他の追随を許さない。
 eは体系的な叙述が困難な国際知的財産法について、各種条約の成り立ちの歴史的経緯を踏まえた章立てを示す示唆的な教科書である。条約交渉に関与した筆者の経験も生かされている。

8 雑誌

 知的財産法関係の専門誌を紹介しておくが、この他、法律関係全般の専門誌や知的財産法の学者のいる大学の紀要には気を付けておいた方がよい。

a 知的財産法政策学研究(北海道大学大学院法学研究科・情報法政策学研究センター)
b 年報知的財産法(日本評論社)
c Law & Technology (民事法研究会)
d A.I.P.P.I(日本国際知的財産保護協会)
e IPジャーナル(知的財産研究教育財団)
f 知財管理 (日本知的財産協会)
g 知財ぷりずむ (経済産業調査会 知的財産情報センター)
h 日本知財学会誌(日本知財学会)
i 日本大学知財ジャーナル(日本大学法学部国際知的財産研究所・大学院知的財産研究科)
j 知的財産専門研究(大阪工業大学大学院知的財産研究科)
k 日本工業所有権法学会年報 (有斐閣)
l 特許研究 (発明協会)
m 特技懇(特許技術懇話会)
n 発明 (発明協会)
o パテント(弁理士会)
p DESIGNPROTECT(日本デザイン保護協会)
q 著作権研究 (有斐閣)
r コピライト(著作権情報センター)

9 単行本

 単独の著者の単行本は、タイトルでおおよそその内容を知ることができると思われる。スペースの関係上、1に掲げた書物の文献の引用に譲ることにし、ここでは実際に本を手にとって目次を見てみる必要がある複数の執筆者の手になる論文集の類のみ紹介しておく。書名に従って分類したが、たとえば、特許法のタイトルの本のなかに、商標や意匠関係の論文が収録されていることもあるので注意を要する。

 なお、ここでは知的財産専門の論文集のみ掲げてあるが、兼子還暦、鈴木古稀、鴻古稀など、著名な民事法学者の記念論文集には必ず知的財産法関係の優れた論文が載っていることが少なくないことに注意しておく必要がある。

  [知的財産法]

・ 豊崎光衛追悼・無体財産法と商事法の諸問題 (1981年・有斐閣)
・ 石黒淳平追悼・無体財産権法の諸問題 (1980年・法律文化社)
・ 中山信弘編著・知的財産権研究I〜X (東京布井出版)
・ 杉林信義古稀・知的所有権論攷 (1985年・冨山房)
・ 湯浅・原法律事務所編・知的所有権の保護 (1987年・発明協会)
・ 根岸哲編・コンピュータ知的財産権(1993年・東京布井出版)
・ 椎名素夫編・ [ワールドワイド知的財産権]激突から大調和へ(1994年・ダイヤモンド社)
・ 本間崇還暦・知的財産権の現代的課題 (1995年・信山社)
・ 知的財産研究所 5周年・知的財産の潮流(1995年・信山社)
・ 弁理士会編・インテレクチュアル・プロパティ (パテント誌30選・1995年・発明協会)
・ 田倉整還暦・知的財産をめぐる諸問題 (1996年・発明協会)
・ バイヤー還暦・知的財産と競争法の理論(1996年・第一法規)
・ 松本重敏=小坂志麻夫古稀・知的財産権・民商法論叢(1996年・発明協会)
・ 北川善太郎編・知的財産法制 (1996年・東京布井出版)
・ 斉藤博=牧野利秋編・知的財産関係訴訟法 (裁判実務大系27・1997年・青林書院)
・ 栗田隆他・知的財産の法的保護 (研究叢書第15冊・1997年・関西大学法学研究所)
・ 鎌田薫編・知的財産担保の理論と実務(1997年・知的財産研究所)
・ 西田美昭=熊倉禎男=青柳昤子編・知的財産権(民事弁護と裁判実務8・1998年・ぎょうせい)
・ 紋谷暢男還暦・知的財産権法の現代的課題 (1998年・発明協会)
・ 清永利亮=設楽隆一編・知的財産権(現代裁判法大系26・1999年・新日本法規)
・ 牧野利秋退官・知的財産法と現代社会(1999年・信山社出版)
・ 山上和則還暦・判例ライセンス法 (2000年・発明協会)
・ 知的財産研究所 10周年記念・21世紀における知的財産の展望(2000年・雄松堂出版)
・ 相田義明=平嶋竜太=隅蔵康一・先端科学技術と知的財産権 (2001年・発明協会)
・ 小野昌延古稀・知的財産法の系譜 (2002年・発明協会)
・ 秋吉稔弘喜寿・知的財産権−その形成と保護(2002年・新日本法規)
・ 木棚照一編著・ 国際知的財産権侵害訴訟の基礎理論 (2003年・経済産業調査会)
・ 知的財産訴訟外国法制研究会・知的財産訴訟制度の国際比較 (2003年・商事法務)
・ 後藤晃=長岡貞男・知的財産制度とイノベーション (2003年・東京大学出版会)
・ 知的財産研究所編・知的財産権の信託(2004年・雄松堂出版)
・ 知的財産研究所編・知的財産ライセンス契約の保護 (2004年・雄松堂出版)
・ 牧野利秋=飯村敏明編・知的財産関係訴訟法 (追補版・2004年・青林書院)
・ 中山信弘還暦・知的財産法の理論と現代的課題(2005年・弘文堂)
・ 塚原朋一=塩月秀平編・知的財産権訴訟の動向と課題−知財高裁1周年−(金融・商事判例増刊・2006年・経済法令研究会)
・ 紋谷暢男古稀・知的財産権法と競争法の現代的課題(2006年・発明協会)
・ 大阪大学大学院法学研究科附属法政実務連携センター・企業活動における知的財産(2006年・大阪大学出版会)
・ 椙山敬士他編・ライセンス契約(ビジネス法務体系1・2007年・日本評論社)
・ 牧野利秋他編・知的財産法の理論と実務 第1巻〜第4巻(2007年・新日本法規)
・ 田村善之編著・新世代知的財産法政策学の創成(2008年・有斐閣)
・ 隅蔵康一編・知的財産政策とマネジメント(2008年・白桃書房)
・ 高林龍編・知的財産法制の再構築(2008年・日本評論社)
・ 飯村敏明=設楽隆一編・知的財産関係訴訟 (リーガル・プログレッシブ・シリーズ 3・2008年・青林書院)
・ 小松陽一郎還暦・最新判例知財法(2008年・青林書院)
・ 松岡博編・国際知的財産法の潮流(2009年・帝塚山大学出版会)
・ 小野昌延喜寿・知的財産法最高裁判例評釈大系I・II・III(2009年・青林書院)
・ 知的財産裁判実務研究会編・知的財産訴訟の実務(2010年・法曹会)
・ 河野俊行編・知的財産権と渉外民事訴訟(2010年・弘文堂)
・ 片山英二還暦・知的財産法の新しい流れ(2010年・青林書院)
・ 高林龍編・知的財産権侵害と損害賠償(2011年・成文堂)
・ 村林隆一傘寿 知的財産権侵害の今日的課題(2011年・青林書院)
・ 三山峻司=松村信夫還暦・最新知的財産判例集−未評釈判例を中心として−(2011年・青林書院)
・ 中山信弘編・通商産業政策史11 知的財産政策 1980-2000 (2011年・経済産業調査会)
・ 高林龍=三村量一=竹中俊子編・現代知的財産法講座T〜W(2012年・日本評論社)
・ 竹田稔傘寿・知財立国の発展へ (2013年・発明協会)
・ 牧野利秋傘寿・知的財産権 法理と提言(2013年・青林書院)
・ 木棚照一編・知的財産の国際私法原則研究−東アジアからの日韓共同提案−(2013年・早稲田大学比較法研究所叢書)
・ 根岸哲古稀・競争法の理論と課題−独占禁止法・知的財産法の最前線(2013年・有斐閣)
・ 同志社大学知的財産法研究会編・知的財産法の挑戦(2013年・弘文堂)
・ 牧野利秋他編・知的財産訴訟実務大系T〜V(2014年・青林書院)
・ 吉田克己=片山直也編・財の多様化と民法学(2014年・商事法務)
・ 小泉直樹=末吉亙・実務に効く知的財産判例精選(2014年・有斐閣)
・ 中村合同特許法律事務所編・知的財産訴訟の現在--訴訟代理人による判例評釈(2014年・有斐閣)
・ 知的財産研究所=尾島明編・アメリカの最高裁判例を読む−21世紀の知財・ビジネス判例評釈集(2015年・知的財産研究所)
・ 中山信弘古稀・はばたき−21世紀の知的財産法(2015年・弘文堂)
・ 飯村敏明退官・現代知的財産法 実務と課題(2015年・発明協会)
・ 魏啓学古稀・中日両国の未来に紡ぐ知財交流(2015年・発明協会)
・ 伊藤滋夫編・知的財産法の要件事実(2016年・日本評論社)
・ 野村豊弘古稀・知的財産・コンピュータと法(2016年・商事法務)
・ 渋谷達紀教授追悼・知的財産法研究の輪(2016年・発明推進協会)
・ 土肥一史古稀・知的財産法のモルゲンロート(2017年・中央経済社)
・ 髙部眞規子編・著作権・商標・不競法関係訴訟の実務(第2版・2018年・商事法務)
・ 髙部眞規子編・知的財産権訴訟T〜U(最新裁判実務大系10〜11・2018年・青林書院)
・ 小野昌延追悼・ 続・知的財産法最高裁判例評釈大系(2019年・青林書院)
・ 吉備国際大学知的財産学研究科10周年=土井輝夫先生追悼=久々湊伸一先生米寿・知的財産法学の世界(2020年・マスターリンク)
・ 牧野利秋編・最新知的財産訴訟実務(2020年・青林書院)
・ 同志社大学知的財産法研究会編・知的財産法の挑戦U(2020年・弘文堂)
・ 片山英二古稀・ビジネスローの新しい流れ(2020年・青林書院)
・ 田村善之=山根崇邦編・知財のフロンティア1・2 (2021年・勁草書房)
・ 髙部眞規子退官・知的財産権訴訟の煌めき(2022年・金融財政事情研究会)
・ 高倉成男=木下昌彦=金子敏哉編・知的財産法制と憲法的価値(2022年・有斐閣)
・ 茶園成樹=上野達弘編・デザイン保護法(2022年・勁草書房)
・ 高林龍古稀・知的財産法学の新たな地平(2022年・日本評論社)
・ 田村善之編・知財とパブリック・ドメイン1〜3(2023年・勁草書房)
・ 田村善之還暦・知的財産法政策学の旅(2023年・弘文堂)
・ 清水節古希・多様化する知的財産権訴訟の未来へ(2023年・日本加除出版)


[不正競争法]

・ 矢沢惇編・商号・商標・不正競争判例百選(1967年・有斐閣)
・ 小野昌延還暦・判例不正競業法 (1992年・発明協会)
・ 松尾和子=佐藤恵太編・ドメインネーム紛争(2001年・弘文堂)
・ 小松一雄編・不正競業訴訟の実務(2005年・新日本法規)
・ 牧野利秋監修=飯村敏明編・座談会 不正競争防止法をめぐる実務的課題と理論(2005年・青林書院)
・ 第二東京弁護士会知的財産権法研究会編・新・不正競争防止法の論点(2006年・商事法務)
・ 商標・意匠・不正競争判例百選(2007年・有斐閣)
・ 商標・意匠・不正競争判例百選(第2版・2020年・有斐閣)

[工業所有権法]

・ 馬瀬文夫還暦・工業所有権法・民事法の課題(1971年・法政書房)
・ 原増司退官・工業所有権の基本的課題 (上)(下)(1972年・有斐閣)
・ 石黒淳平=馬瀬文夫還暦・工業所有権法の諸問題 (1972年・法律文化社)
・ 中松澗之助追悼・国際工業所有権法の諸問題 (1976年・AIPPI日本部会)
・ 牧野利秋編・工業所有権訴訟法 (裁判実務大系9・1985年・青林書院)
・ 染野義信古稀・工業所有権−中心課題の解明 (1989年・勁草書房)


[特許法]

・ 特許判例百選 (旧版・1966年・有斐閣)
・ 馬瀬文夫古稀・判例特許侵害法(1983年・発明協会)
・ 特許判例百選 (新版・1985年・有斐閣)
・ 内田修古稀・判例特許訴訟法 (1986年・発明協会)
・ 三宅正雄喜寿・特許争訟の諸問題 (1986年・発明協会)
・ 青山葆=佐藤義彦・国際特許侵害争訟(1991年・法研出版)
・ 青山葆=木棚照一・国際特許侵害(1996年・東京布井出版)
・ 内田修傘寿・判例特許侵害法 2(1996年・発明協会)
・ 松本重敏=大瀬戸豪志・比較特許侵害判決例の研究 (1996年・信山社)
・ 知的財産研究所編・特許クレーム解釈の研究(1999年・信山社)
・ 相澤英孝編・電子マネーと特許法 (増補版・2000年・弘文堂)
・ 知的財産研究所編・米国におけるビジネス方法特許の研究 (2001年・雄松堂出版)
・ 竹田稔監修・特許審査・審判の法理と課題 (2002年・発明協会)
・ 知的財産研究所編・バイオテクノロジーの進歩と特許 (2002年・雄松堂出版)
・ 大場正成喜寿・特許侵害裁判の潮流 (2002年・発明協会)
・ 特許判例百選 (第3版・2004年・有斐閣)
・ 竹田稔=角田芳末=牛久健司編・ビジネス方法特許(2004年・青林書院)
・ 田村善之=山本敬三編・職務発明 (2005年・有斐閣)
・ 日本弁理士会中央知的財産研究所編・クレーム解釈論(2005年・判例タイムズ社)
・ 知的財産研究所編・用途発明(2006年・雄松堂出版)
・ 知的財産研究所編・特許の経営・経済分析(2007年・雄松堂出版)
・ 第二東京弁護士会知的財産権法研究会編・特許法の日米比較(2009年・商事法務)
・ 知的財産研究所20周年記念・岐路に立つ特許制度(2009年・知的財産研究所)
・ 日本弁理士会中央知的財産研究所編・クレーム解釈をめぐる諸問題(2010年・商事法務)
・ 特許判例百選(第4版・2012年・有斐閣)
・ 大渕哲也=塚原朋一=熊倉禎男=三村量一=富岡英次・特許訴訟(上巻)・(下巻)(2012年・民事法研究会)
・ 大阪弁護士会知的財産法実務研究会・特許審決取消判決の分析〜事例からみる知財高裁の実務〜(別冊NBL No.148・2015年・商事法務)
・ 髙部眞規子編・特許訴訟の実務(第2版・2017年・商事法務)
・ 知的財産研究教育財団編・医療と特許 医薬特許発明の保護と国民の生命・健康維持のための制度的寄与(2017年・創英社)
・ 小松陽一郎古稀・特許権侵害紛争の実務 裁判例を踏まえた解決手段とその展望 (2018年・青林書院)
・ 特許判例百選(第5版・2019年・有斐閣)


[意匠法]

・ 三谷英二/小谷悦司還暦・判例意匠法 (1999年・発明協会)
・ 牛木理一古稀・意匠法および周辺法の現代的課題(2005年・発明協会)
・ 麻生典=クリストフ・ラーデマッハ編・デザイン保護法制の現状と課題 法学と創作の視点から」(2016年・日本評論社)

[商標法]

・ 村林隆一還暦・判例商標法 (1991年・発明協会)
・ 第二東京弁護士会知的財産権法研究会編・新商標法の論点(2007年・商事法務)
・ 第二東京弁護士会知的財産権法研究会編・「ブランド」と「法」(2010年・商事法務)
・ 松田治躬先生古稀記念論文集(2011年・東洋法規出版)

[著作権法]

・ 著作権判例百選 (旧版・1987年・有斐閣)
・ 半田正夫還暦・民法と著作権法の諸問題 (1993年・法学書院)
・ レコードと法(1993年・青山学院大学法学部)
・ 著作権判例百選 (新版・1994年・有斐閣)
・ 音楽と法(1994年・青山学院大学法学部)
・ メディア文化と法(1995年・青山学院大学法学部)
・ 情報化社会と法(1996年・青山学院大学法学部)
・ マルチメディアと法 (1997年・青山学院大学法学部)
・ 著作権情報センター・CRIC論文集(1997年・著作権情報センター)
・ 著作権情報センター・第2回著作権・著作隣接権論文集(1999年・著作権情報センター)
・ 著作権判例百選 (第3版・2001年・有斐閣)
・ 村林隆一古稀・判例著作権法(2001年・東京布井出版)
・ 吉田大輔・明解になる著作権 201答(2001年・出版ニュース社)
・ 吉田大輔・明解になる著作権 10章(2009年・出版ニュース社)
・ 著作権法令研究会編著・著作権法ハンドブック(第4版・2001年・著作権情報センター)
・ 著作権情報センター・第3回著作権・著作隣接権論文集(2001年・著作権情報センター)
・ 著作権特殊講義-音楽著作権の諸問題 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄付講座(2002年・成蹊大学法学部)
・ 著作権特殊講義-視覚的著作物の諸問題 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄付講座(2002年・成蹊大学法学部)
・ 著作権特殊講義- デジタル化, ネットワーク化と著作権 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄付講座(2002年・成蹊大学法学部)
・ 著作権特殊講義-インターネット時代のシステムとビジネス 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄付講座(2003年・成蹊大学法学部)
・ 著作権情報センター・第4回著作権・著作隣接権論文集(2003年・著作権情報センター)
・ 半田正夫古稀・著作権法と民法の現代的課題(2003年・法学書院)
・ 著作権特殊講義-著作権法の学際的アプローチ  ・ 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄付講座(2004年・成蹊大学法学部)
・ 牧野利秋=飯村敏明編・著作権関係訴訟法(2004年・青林書院)
・ 中山信弘監修・IT時代の報道著作権(2004年・新聞通信調査会)
・ 著作権制度概説および音楽著作権  ・ (2004年度JASRAC寄付講座講義録・2006年・明治大学法科大学院知的財産と法リサーチセンター)
・ 著作権情報センター・第5回著作権・著作隣接権論文集(2005年・著作権情報センター)
・ 著作権情報センター・第6回著作権・著作隣接権論文集(2007年・著作権情報センター)
・ 第二東京弁護士会知的財産権法研究会編・著作権法の新論点(2008年・商事法務)
・ 知的財産研究所編・デジタル・コンテンツ法のパラダイム(2008年・雄松堂出版)
・ 斉藤博退職・現代社会と著作権法(2008年・弘文堂)
・ 紋谷暢男編・JASRAC概論(2009年・日本評論社)
・ 中山信弘=大渕哲也=小泉直樹=田村善之編・著作権判例百選(第4版・2009年・有斐閣)
・ 著作権情報センター・第7回著作権・著作隣接権論文集(2010年・著作権情報センター)
・ 高林龍編・著作権ビジネスの理論と実践(早稲田大学ロースクール著作権法特殊講義・2010年・成文堂)
・ 高林龍編・著作権侵害をめぐる喫緊の検討課題(早稲田大学ロースクール著作権法特殊講義2・2011年・成文堂)
・ 高林龍編・著作権ビジネスの理論と実践II(早稲田大学ロースクール著作権法特殊講義3・2011年・成文堂)
・ 高林龍編・著作権侵害をめぐる喫緊の検討課題U(早稲田大学ロースクール著作権法特殊講義4・2012年・成文堂)
・ 著作権情報センター・第8回著作権・著作隣接権論文集(2012年・著作権情報センター)
・ 小泉直樹他・クラウド時代の著作権法(2013年・勁草書房)
・ 日本芸能実演家団体協議会実演家著作隣接権センター(CPRA) 編・実演家概論権利の発展と未来への道(2013・勁草書房)
・ 著作権情報センター・第9回著作権・著作隣接権論文集(2014年・著作権情報センター)
・ 上野達弘=西口元編・出版をめぐる法的課題 その理論と実務(2015年・日本評論社)
・ 著作権判例百選(第5版・2016年・有斐閣)
・ 中山信弘=金子敏哉『しなやかな著作権制度に向けて コンテンツと著作権法の役割』(2017年・信山社)
・ 著作権判例百選(第6版・2019年・有斐閣)
・ 上野達弘=奥邨弘司編『AIと著作権』(2024年・勁草書房)



10 論文の動向の把握法

a 法律時報12月号[学界回顧 知的財産法](日本評論社)
b 年報知的財産法(日本評論社)

aは、毎年12月号に、全法律分野に関する者であるが、知的財産法に関しても、1年間の主要な研究書や論文のタイトルと若干のコメントが付された紹介が掲載される。網羅的なものではないが、簡便に最新の研究の動向を追うことができ、便宜である。

bには、「学説の動向」と題して、網羅的に、1年間の知的財産法に関する論文とその要旨の紹介が掲載されている。膨大な量の文献を渉猟し要旨を作成する作業が施されているだけに、全体の動向を通覧するのに極めて便宜である。